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チャイムの音が聞こえる。


昼間まで寝ていた俺は、大きなあくびをして扉を開けた。



「入れて」


今日も、やっぱり有華は俺の家に来た。


「あぁ」


彼女は相変わらずちゃんと化粧をして、精一杯着飾って俺に会いに来る。


前だったら嬉しくてたまらなかったはずなのに、やっぱり何かが違うと思ってしまう。


部屋に入ると、有華は嬉しそうににこにこしながら座った。


「今日だけどさー、あたし龍也に」


「でも俺、今日勉強すっから」


「はああああああああああ!?」


言った途端、有華が目をむいた。

「どうしたの!? 病気!?」

「ひでー言い方だな」


とはいえ、そう言われても仕方ないといえば仕方なかった。
今まで家で勉強なんて、ほとんどしてなかったし。


「俺、来年はもうちょっと頑張ろうかと思って」


有華は机に肘をつき、疑うような目でこちらを見つめる。


「Fじゃないクラスに行きたいってこと?」


「まぁ、それもあるかもな」

「……龍也の成績なら、テストさえちゃんと受ければすぐ行けるでしょ。
今までだって、試験サボってたから点数がつかなかっただけで、頭いいんだからさ」

「そうだな」


試験の時期になると、教師にサボるなと強制される。
学校内の成績を上げるために、俺が試験を受けたほうがいいらしい。


そういうのもうざくて、わざと試験の日になるとサボったりしていた。
問題を解いていると、横からノートを奪われる。


「おい、やめろって!」