「え?」
そう言った幸香の視線は、いつの間にか、野球部の全体写真に向いていた。
指で直接差しているわけじゃない。
でも、『この子』が誰なのか、僕には何となくわかる気がした。
「僕は、この子のことをそんな風に見てなかったよ?もちろんこの子も、ね」
「でも、『幸哉』って……」
「あ……」
そういうことだったのか……――――
僕の考えが当たってて
僕が幸香の気持ちをちゃんと理解できたとしたら
……僕は少し、浮かれてもいいのかな?
「名前を呼び捨てにしてるだけじゃ、その人とどのくらい親しいかなんて判断できないよ。
ほら、僕だって、倉持先生を呼び捨てにすることがあるけど、特別に仲が良いわけでもないしね。むしろ、それで怒られたりしてるしさ」
幸香は、不安そうに上目遣いで僕を見ている。
その頭に、そっと自分の右手を乗せてみた。


