幸香の声がだんだんと小さくなっていくから、最後の方はよく聞こえなかった。
いきなりの誉め言葉に驚いた僕だけど、喜んだり、照れたりしてる場合じゃないみたいだ。
何だか、幸香の表情が、この会話をするのに似合いそうな晴れ方をしてないように見えるから……――――
「僕は全然モテなかったよ?
そんなに強くなかったし、中学の頃は背も低かったし、基本的に人に優しくとかできないし……」
「嘘でしょう?だって、柴本くんは最初から優しかったじゃない」
「いや、それは……。やっぱり、その、相手が幸香だったからで……」
こんな話に発展するなんて……
自分でも、この会話がこれからどんな方向に進んでいくのかわからない。
ただ、今なら自分の心臓の位置をすっ、と言い当てられる。
それだけが、はっきりとわかった気がした。
「本当?」
「嘘なんて付くわけないでしょ?」
「でも、……でも、この子とか本当に親しそうだから……」


