家族にバレた
あの日から
気付けば、もう、
五年も経っていた。

あの家を出て、
今は信昌さんと
二人でマンションに住んでいる。

姉さんは今まで通り
家に居ればいいと
言ってくれた。

だけど、信昌さんと
話し合って家を
出ることにした。

「将、愛してる」

信昌さんはたまに
不意打ちで「愛してる」とか
言ってくるから、心臓に悪い。

家を出て、
制御しなくて
良くなったからだと思う。

「僕も愛してますよ」

未だにニートな僕は
信昌さんに文字通り
養ってもらっている。

家事全般を
僕がやっている。

要は主夫ってことだ。

料理は苦手だったけど、
姉さんと母さんに
一生懸命習った。

好きな人には
やっぱり、手料理を
食べてもらいたいから。

明日は、何を作ろうかな。

「何考えてんだ?」

キッチンで洗い物をしてる
手が止まったからか
僕の顔を覗き込んで来た。

「明日のご飯」

誤魔化すようなことじゃない。

「すっかり、主夫が
板について来たな」

まぁ、五年も
やってればねぇ……

「信昌さんに
美味しいご飯を
食べて欲しいから」

五年前、何だかんだで
僕たちの関係を
認めてくれた家族には
感謝してもしきれない。

姉さんの旦那だった信昌さん。

最初に告白された時は
本当に吃驚した。

だって、僕の
片想いだと思ってたんだから。

そして、何度も体を重ね、
沢山啼かされた。

「嬉しいな。

将が居れば、明日も
頑張れる気がするよ」

洗い物を再開し、
お皿を拭きながら
そんなことを言われた。