ただ、書けば書くほど、考えれば考えるほど思い知らされることがあった





坂本龍馬暗殺と鳥羽伏見の戦い





これだけはなんとしても阻止しなくてはならない



坂本が暗殺されてしまえば、いくら華蓮でも意見を通すのは厳しくなるだろう



坂本は長州でも、薩摩でも一目置かれる人物であるから、失うわけにはいかない



そして、鳥羽伏見の戦い────



史実だと、この戦いで新撰組の多くの人が亡くなる



その中には井上や山崎も含まれていた




そして、鳥羽伏見の戦いの後も新撰組は薩長軍と戦わなくてはならなくなるのだ




──できれば、鳥羽伏見の前になんとかしたい



そう思うようになっいた



そうすれば、多くの人が死ぬことも、恨みが生まれることもない



しかしながら、考えてもそれを阻止する方法が思いつかなかった



坂本のことも、いくら新撰組が京都守護職だからといって匿うわけにはいかないだろう



華蓮は考えに行き詰まっていた







──時間がきたら、またおまんを攫うぜよ──



坂本の言葉が蘇る



──坂本さん、そろそろ会いたいです



とんでもない考えを思いつく坂本なら、何かいい方法を見つけてくれるかもしれない







華蓮は部屋からまだ咲きそうにもない桜を見上げていた