「へぇ、なかなか嬉しいことを言ってくれるじゃないか」



「……ところで、何かお話があるのでは?
ただ談笑するおつもりではないでしょう?」



「…はっはっは、やっぱり僕の目に狂いはないようだね
君だって、なかなか勘がよくて、賢い」



伊藤派の人間だと思われる隊士が一人入ってきて、お茶とお茶菓子を置いていく



「お褒めいただき、光栄です」



──やっぱり、この人の前で油断は禁物だ



伊藤の放つオーラは背筋をゾクリとさせる



沖田のような殺気とはまた違うモノだ




「よし、お茶もあることだし、本題に入ろうか」



華蓮は頷くことしかできかった



雰囲気がそうさせているように思う










「君はいったい、何者だい?」










──!!!!



「どういう意味でしょうか?」



冷静に、動揺するな、と言い聞かせる



「そのままの意味だよ」




「私は行き場のないところを土方副長に拾っていただき、近藤局長に居場所を与えてもらった、小姓です」




今はまだ、明かすわけにはいかない



未来から来たこと、風を操る力があること




「僕には話せない、ってことかな
わかったよ

じゃあ、もう一つ
君は女子だろう?」




────…………




「………しつこいな」



バレそうだとか、動揺とかそれ以前の問題だ



華蓮は新撰組にいる限り、男としていなくてはならないのだ



「ん?……何か言ったかい!?」



目上の人物だとか、気をつけなくてはならないというのは既に華蓮の頭から消えていた



「しつけーんだよ!!
何回も何回もっ!!!!
男だって言ってんだろ!?

これしか話がねーなら帰る!」




──ピシャッ





思わず飛び出してしまったのである