「それはそうと、ずっと思ってたんですけど、蓮さんは原田さんたちと町人に化けてましたよね?
どうしてなんですか……?」



今度は沖田からの質問



この前、原田、永倉、藤堂というまだあまり顔の知られていない3人と一緒に、新撰組が京を守るために働いていると書いた紙を配り歩いた



この作戦は幹部の中でも、上層部……近藤、山南、土方には話したが、沖田には説明していない



「あ、あれはですね……
新撰組が京の人々を守るためにある、ということを町の人たちに伝えるために真実を書いた紙を配ってたんですよ」



「へぇ………どうしてですか?」




──どうしてって……誤解されたままでもいいのか、この人は……

まあ、沖田さんは周りの評判なんかお構いなしなんだろうけど………



「私、新撰組のことを未来で知ってからずっと疑問に思っていたんです

どうして町の人たちのために戦っているのに、嫌われていたのかなって……


恐らく、新撰組が何のために何をしているかを知らなかったからなんですよ
だから、それをきちんと説明して、誤解を解きたかったんです」



京の人々を守るために戦っていたのに、理解されず、よくよくは幕臣になり追い詰められていくなんて虚しすぎる



勝手な思い込みもいいところだ



話し終わると沖田は複雑な表情になる



思っていることが華蓮にもわかる気がした




「ですが、何か返して欲しくて評判を上げたいわけではありません
あくまでも誤解を解いてもらって、新撰組の存在理由を知ってもらうだけです

まあ、それで新撰組が幕臣より京都守護職を貫ければいいなっていうだけの話なんですけど……」




そう、華蓮が望むのは長州と幕府軍の平和的解決



そのために間に立ちたいのだが、新撰組が幕臣になってしまっては意味がない