華蓮も史実について、かなり詳しいところとそうでないところとある
だが、伊藤派入隊から新撰組の崩壊までは訳あって特に詳しいのだ
「……私が、私たちが少しずつ、歩むはずの歴史を変えているからです
本来ならば新撰組はもう完全な幕軍となっていてもおかしくありません」
だが、それでは幕府や会津を守ることには繋がらないと近藤に押し切ったのは華蓮だ
「それを貫けているのは、京都守護職として認めてもらっているからです
そして、今はできるだけ中立な立場を維持しています
だから、伊藤派とぶつかり合うことはそこまでないはずです
今の新撰組には直参なる予定はありませんから」
伊藤が気に食わなくなるのは、恐らく先の見通しが立たない幕府の手足のようになってしまうことだろう
それに伊藤が巧みな話術を使ってくるとするならば
「んなら、伊藤を説き伏せてこっちのモンにしちまえばいいってわけか」
「その通りです、土方さん
それはお任せしますけどね」
土方は饒舌ではないが、頭がキレるし、話も上手い
「当たり前だ、それは俺の仕事だな」
初めから伊藤に注意しておけば、怪しい動き一つすら土方に筒抜けになるだろう
そうなれば伊藤も用意には動けまい
「……山南さんも平助君も……知りたくないことまで知らせてしまってすみません
だけど、この史実通りにはさせません
山南さんと平助君はこれからに必要な人ですから」
学があり、心優しい山南と素直な藤堂を亡くしたくはない
「そこまで断言してくれるとうれしいですね」
「だなっ」
二人とも何事もなかったかのように、笑う
「ただ………」
急に真剣な顔つきになった山南
「どうかしました?」
「少々、提案があるのですが……」
少し戸惑ったものの、この後に告げられた山南の計画に皆が賛同することになったのである

