「そ、そうですか」



華蓮は詮索をやめて沖田から目を反らした



「なんです?
……羨ましいですか?」



「なっ!!」



からかわれてとっさに沖田を見ると、黒い笑顔でこちらを見ていた



「最近は忙しくて、あまり話せていないんでしょう?」



「…………」



──沖田さんにはすぐに見抜かれるなぁ 



華蓮は無言で頷いた




「大丈夫ですよ、しばらくしたら土方さんも手が空きますから」



「えっ、それってどういうことですか?」



沖田の話は回りくどくて、わかりにくい



「うーんと、そろそろ近藤さんが帰ってくるってことですかね?」



──!!



どうりで、沖田の機嫌が直ったわけだ



近藤が江戸に行くことになり、沖田はその護衛として付いていくつもりだったらしい



だが、断られて全身から殺気が出そうなほど苛立っていた



いてもたってもいられず、土方の所へ行っていたのだろう



その彼が、普段通り笑っているのだから土方に近藤が帰ってくる、とでも言われたのだ



そして、近藤が帰ってくれば、土方の仕事も少しは減る



今は局長不在中であるため、気を張り、自然と仕事を増やしているから、土方も忙しい



「……そうですか
思ったより早く帰って来られるのは嬉しいです
でも、何をしに行ったんでしょうか?」



藤堂といい、近藤といい目的をあまり知らされていないから華蓮はいまだに知らない



「……さあ?
帰ってきたら聞いてみたらどうですか?」



沖田の返答に多少の間があった気がするが、きっと聞いても答えてくれないだろう



「……はい」



だから華蓮は素直に返事をするしかなかった