「残りは各組長の指示に従って、京に潜む長州藩士を追い払いながら、京の人々を守れっ!!」
『はいっ!!』
土方の指示に皆が一つになった
そして二、十番隊と五、七、九番隊に別れてそれぞれ別方向に向かう
土方と華蓮は人数の少ない二、十番隊に加わることになった
二番隊の組長は永倉、十番隊は原田であるから、華蓮も居やすい
──ドォォォン
──ガシャァァアン
あちこちから聞こえる、大砲や建物が崩れる音
怯える人々を安全な方へと誘導し、崩れた建物に埋もれる人を救い出す
そんな行動を繰り返していた
「動ける人は、動けない人に寄り添いながらあっちへ逃げて下さい!!」
華蓮は小さな子供を若い女の人に託す
「あんたらは、私たちを助けようとしとんの?」
その目は、怯えているように感じた
多分、その人から見れば華蓮たち新撰組も同じように武器を持つ集団
恐れられるのには十分な理由だ
「もちろんです、私たちは京を守るために作られた組織ですから」
華蓮は震えているその人の手を握る
「さあ、早く
今ならまだ逃げられます
京は私たちが守ってみせますから!」
浅葱色の羽織りを翻して走って行く
その後ろ姿は京の人々にとって唯一の光となるのだった

