土方があんなに荒々しくなったことはもちろん驚いただが、斎藤の方が上回る
斎藤は土方の一言を聞いて、嬉しそうに笑ったのだ
さすがに華蓮も目をパチクリとさせた
「一君はね、土方さんが大好きらしいですから」
「……確かに、そうみたいですね」
斎藤があんなふうに笑うところなど、めったに見ない
それに斎藤は機転も利くし、場の空気も読める人だから土方が信頼しているのもわかった
「……新撰組か?」
そんなやり取りの中、よく響く声と共に強いオーラを放っている男が現れた
外見だけで、この人物が誰だかわかった気がした
門番たちも、華蓮たち新撰組も跪き、頭を下げる
「はっ、我ら新撰組、全力を尽くして容保公のお力となり、京を守る為、ただいま見参いたしました」
近藤は緊張のせいか、声がうわずっていた
「うむ、よく来た
そんな堅苦しい態度でなくともよい
そなたたちの働き、期待している」
──この人が、会津藩主松平容保
立っているだけでも十分な威圧感
期待している、と笑った瞬間、新撰組全員の志気がさらに上がったのは言うまでもない
こういう人こそ、人の上に立つに相応しい人間だ
「はっ」
そして、近藤は、新撰組はその期待に応える力がある
華蓮は松平容保という、信頼できる人が上にいてよかったと思った

