「あれ、もう一人の子は?」



お兄さんが、樹美の所にもどってきて、たずねた。



「お母さんのおつかい思い出したって、

急に帰っちゃった」


「そう…

きみ一人なんだね…」


お兄さんは、かすかに笑ったように見えた。


「あれ、ドアの鍵閉まってるね。

かけてくれたの?」


「うん、閉じまりしないと、

ドロボーがくるから。

いつもママに言われてるの」


「エライんだね。ありがとう。

用心しておかないとね…」


樹美の肩に手をまわした。


「さあ、写真をプリントしてあげよう」


お兄さんは、部屋の奥へと、樹美を連れて行った。