同じ年頃の女の子が、

目を輝かせて、立っていた。



「五色もそろってるの見るの初めて。

あたし、まだ一色しか、持ってないから…」


女の子は、自分のコイチゴちゃん出して見せた。



「ゴールドのコイチゴちゃん!!」



手に入れるのが難しいと言われているゴールド色を、

持っている。


シルバーは500個に1個、

ゴールドは1000個に1個ぐらいしか、

オマケにつかないとウワサされていた。



「どうしたのこれ?!」


あやめは、驚いて聞き返した。


「ママがね。お店のお客さんにもらったのを置いていったの」


女の子は、ポケットにしまって、

あやめの隣のブランコに座った。



「あたし、山本樹美(ジュミ)って言うの。

昔いたパパが付けてくれた名前なんだって」


樹美は、ブランコをこぎ出した。


「ママは、キライみたい。この名前」


大きくブランコを揺らす。


「樹美ちゃんも、お父さんいないの…。

あやめも、生まれた時からいないよ」


ブランコをこぎ出すあやめ。



「あやめちゃん、明日も公園に来る?」

「うん来る。樹美ちゃんは?」

「あたしも!」



夕焼空に、二つの黒い影が、

同じくらい大きく揺れた。