あまりの恐怖に、顔を隠して身を縮めるあやめ。

手からピンクのコイチゴちゃんが二つ、下に落ちて音をたてた。



「そ…れ…は…?」



恐ろしい声がたずねた。



泣きそうになりながら、


「あげようと…思って…」


と必死に震える声であやめは答えた。



すると、その瞬間、

足元にスーっと冷たい風が通り過ぎた。



そして、

やさしい樹美の声がした。



「あやめちゃん…

ありがとう…」




今度は、あやめの体全体を強い冷気の風が吹きつけ、

窓ガラスもガタガタガタと激しく鳴った。