うねうね蛆虫が這い回り、

ハエがたかる腐乱した黒い顔…



「あやめ…ちゃ…ん」



動いた赤い口から、

鼻の形をした肉片が、

ドサッと、寝ているお兄さんの胸に落ちた。


お兄さんの顔は灰緑に変色し、

黒目のない血走った白目をむき、

噛みち切られた鼻のあとに、

赤い肉と骨が見える。



「来ちゃダメって、

言ったのに…」



樹美の濁った目の瞳孔が、

急にカッと見開く。


地の底から唸るように、

恐ろしい怒鳴り声が響いた。




「どうして来たのー!!」