好きと言わないで



「瀬能さん」

不思議そうな顔をする瀬能さんは私を見つめる。

「ワガママ言ってもいいですか?」

「いいよ」

甘い声だった。まるでチョコレートみたいに。

「今日のことが夢じゃないって証拠が欲しいんです。」

「証拠…か。」

「はい。夢じゃないって思えば明日からまた、退屈な日常を頑張れるような気がするんです。」

「ちょっと待ってね」

車の収納スペースを開けると瀬能さんはそれを取り出した。

「彩音ちゃん、これあげるよ」

瀬能さんが取り出したのは、ひとつのストラップだった。