しばらくこのままで居たかった。 優しくされることはあった。 だけど、温もりを感じられることなんて後にも先にもあるかどうかなんてわからない。 抱き締められればいいんじゃない。 この暖かさは、瀬能さんだけのものだ。 「彩音…ちゃん?」 「ごめんなさい…もう少しだけ」 どのくらいの時間が経っただろう。 すごく長い間瀬能さんの胸を借りていた気がする。 私は、ゆっくりと瀬能さんの胸をゆっくりと離れる。 「もう、いいの?」 私は声を出す気力もなくコクリと頷いた。