「ねぇ、彩音ちゃん」
さっきまで遠ざかっていくメリーゴーランドに夢中だった瀬能さんが声色を変えて話しかけてきた。
「はい」
「最初はどうなるかと思ったけど、君と会えて楽しかった。」
「はい、私もです。」
そういい終えると、観覧車はちょうどてっぺんに来ていて、瀬能さんは私の手を取り取り、手のひらにキスをした。
「この観覧車には、言い伝えがあるんだ。キスは、いろいろな意味があるよね?外国とかだと、キスは挨拶でもするものだけれど、日本では、キスは軽々しくするものじゃない。この観覧車がてっぺんに来たときキスをしたカップルには幸せが訪れる。手のひらにキスをすれば、いつかまた会えますように。そんな意味があるんだ。」
「じゃあ、私たちまた会えるんでしょうか?」
「きっと、会えるよ。」
観覧車は回っているはずなのに、てっぺんにいる時間が異様に長く感じた。



