好きと言わないで



そんなことをメリーゴーランドに乗りながら思い出した。
淡い淡い思い出。

思い出しているうちにメリーゴーランドは止まっていた。

「おかえり、彩音ちゃん」

「ただいまです、瀬能さん」

お互いに微笑みあった。

次に私たちは、アトラクションで一番のメインである観覧車に乗った。

観覧車が音をたてて動き出す。

地上がどんどん遠ざかっていく。

少し動くだけで見えるそれはまるで違う世界のようだ。

「みて、彩音ちゃん」

私は瀬能さんの言葉に耳を傾ける。

「さっきのメリーゴーランドがあんなに小さいよ!!」

さっきまで大人だと感じていた瀬能さんが急に子どものような声を出した。