好きと言わないで



メリーゴーランドに乗る頃には空が橙色になっていた。

私がメリーゴーランドから降りて賢人くんのところへ向かおうとすると。

「彩音!!」

「彩音ちゃん!!」

私を呼ぶ声。

「…ママ」

お母さんの顔を見ると止まっていたはずの涙が溢れてきた。

「彩音のこと、探した」

そう言って私を抱き締める。

お母さんが来てくれて、探してくれて嬉しいはずなのに心につっかえた。
何故なら賢人くんともっと遊びたかったから。

お母さんがきた=賢人くんとさよならする。
そういうことだから。
それが堪らなく悲しかった。

私はお母さんに手を引かれて賢人くんにさよならを言えないまま別れた。

振り替えると賢人くんは、笑顔でこちらをみて手を降った。

私は両手が塞がっていて手を降ることさえできなかった。