好きと言わないで



お母さんたちから離れて何分が経過しただろう。
放送がかかるでもない。
周りからは楽しそうな家族の声。
涙が溢れた。


私はいらない子なんだ、そんな風に思った。

「ねぇねぇ!」

声がした。だけどきっと私じゃない。そう、思った。

「ねぇ!赤いリボンしてる君!」

私だ。そう思って振り向いた。
そこには、グレーのスーツを纏った男の子。

「泣いてるの?涙を拭いて」

そう言って男の子はハンカチを取り出して涙を拭いてくれた。


「あ、ありがとう」

「うんん。お父さんとお母さんは?」

「いなくなっちゃった」

嘘をついた。いなくなったんじゃない。本当は、私からいなくなったんだ。