私たちは、どちらかが言ったでもなく自然に噴水近くのベンチに腰かけた。
「ごめんね、本当はもっと早く来て待ってようかと思ったんだけどアパートの隣の人が回覧板持ってきて話が長くて長くて…」
「私も今来たところだったので大丈夫です。」
私は優しく瀬能さんに微笑みかける。
そうすると瀬能さんは続けて言った。
「彩音ちゃん、って呼んでも大丈夫?」
それは唐突。だけど嬉かった。
「はい、大丈夫です。」
まさか、そんな風に断りを入れてくれると思わなかった。
もしかしたら今回の非通知電話は当たりだったのかもしれない。
「俺のことは好きに呼んでもらって大丈夫だからね」
優しくとろける様な笑顔で私を見つめてくる。
「じゃあ、瀬能さんで」
「彩音ちゃん真面目なんだね」
そんなこと男性から言われたの初めてだった。
友達や学校の先生には言われたりもした。
それは褒め言葉として受け取っていいのだろうか。



