好きと言わないで


彼は私の目の前に立つと電話を切る。

「こんばんは。」

ヒールを履いてきたはずなのに彼の身長は高く私を見下ろしていた。

「こんばんは。」

「今さらですけど俺は、瀬能和真(セノウカズマ)君は?」

「雪城彩音です。」

「彩音ちゃんか。いくつかわからないけどきっと年下だよね?」

なんだか、この人の顔を見たら嘘をつきたくなくなった。
その大きな目を見ていると吸い込まれてしまいそうで不思議な感覚に陥る。
『私はこの人には嘘をつけない。』何故かそんな風に思った。

「17歳です」

「え、高校生?」

「そうです。瀬能さんは大学生ですか?」

「そうそう。大学2年生で年はハタチ」

瀬能さんの見た目から想像されるであろう年齢も大体20代だろうと思えるよな風貌だ。
ハタチ、そう聞くとすごく大人だなと思う。