好きと言わないで


帰りたくない家にたどり着いた。
鍵でドアを開ける。

「ただいま」

そっと呟くけれど『おかえり』という言葉は返ってこない。
いつものこと、家に誰もいないなんていつものこと。
寂しいなんて思ったのはいつまでだろう。
今はそんな気持ちは…ない。

お母さんがいたであろうことを証明する脱ぎ散らかした服、何か食べたであろう食器。そこには、生活風景が残されていた。

いつものように私はそれを片付け始める。

冷蔵庫を除くと姿を表したのはお酒がほとんど。野菜など皆無である。
見かねて私はいつもスーパーに出掛けては食品を買い料理を作る。

帰ってくるかもわからないお母さんの分もつくりラップをかける。

今日は、野菜炒めとお味噌汁を作った。簡単な料理だけど野菜炒めは私が初めて覚えた料理。