「これ、巻き直していい?」
「あ…いいけど、やっぱり上手くできてない?」
「こんなんだろ、慣れてないにしちゃマシだと思うけど?」
人の苦労もしらないで、マシとか言わないでよ…
「ちょっと動かすなよ?」
「うん…わかった」
逆らっても、文句言われるだけだろうし、あたしはおとなしく貴史君のやることを見てた。
あたしが巻いたテーピングを巻き取るのも手早かったけど、別のテープ取り出して巻き直してくれるのも早かった。
適当にやってんじゃないの?…なんて思えたけど、そんなこともなかった。
「それやるから…次からそれで巻けよ?赤くなってるの、治ると思うし」
「ありがと…」
なんか、ちょっと見直したかも…今のは。
自分でやってたのより、ちゃんとしてるのわかるし…
「つか、なんでそんな覗き込んでんだよ…顔近い!」
「いや、どうやってやるか見てた方がいいかと思ったから…全然わかんなかったけど」
「やり方龍樹に聞いたんだろ?だったら必要ねぇだろ…見てなくていいっつの」
聞いたと言うかちゃんと教えてもらったけど、やっぱ自信ないから気になるじゃん。
