鈍恋diary


「史ちゃん、大丈夫?」

「大丈夫だって」

電車待ちの間、穂花とあちこちウロウロしてた。

駅の階段を降りる途中で、穂花はあたしが捻挫してることを思い出したらしくて…

さっきまで全然気にしてなかったのに、急に心配しはじめた。

「ホントに?ごめんね、ホノがいろいろ引っ張り回しちゃって」

「大丈夫だから、穂花は気にしすぎ」

ホント大丈夫だし、気にすることないのに…

「ほら、電車来たよ」

穂花を引っ張って、人が降りるのを待ってから、電車に乗り込む。

「あ、貴史君だ」

穂花の声に反対側のドアの方へ視線を向けると、こっちを見てた貴史君と目が合った。

この間と同じ…

昨日とも、ちょっと似てる…

なんか、どうしていいかわからないから、やっぱり気まずい。

でも、そう思ってたのはあたしだけだったみたいで…

「こっち空いてるから、座っとけ」

近付いて来た貴史君は、あたしの腕を引いて空いてた席に座らせてくれた。