鈍恋diary


穂花が部活で一人で帰ったある日…

あたしは、電車に乗るなり急に腕を引かれてた。

「ちょっと、急に引っ張るのやめてって何度言えばわかんの?」

てっきり航希だと思って相手を睨むと、驚いたような顔をした貴史君がいた。

「あ…ごめん、航希だと思ったからつい」

「いや、俺も悪かったから…ごめん」

貴史君と話すのはあの日以来。

それなのに、なんか気まずい雰囲気にしてしまった。

「コウキって…この間一緒だった附属中のヤツ?」

「あ…うん。小学校同じなの」

「そっか…やっぱ弟じゃなかったんだな」

「弟みたいなもんだけどね」

って、つい普通に会話してしまった。

あの日、あの後ずっと無言で気まずかったのに…

謝る前に普通に話しちゃうとか、あたし何してんだろ?

謝る必要あるかもナゾだけど…

それ以前に、なんでまたこの人と関わるようなことしちゃったんだろ??

「あの…この間はごめんなさい。それとチョコありがとう…お礼言い忘れてた」

「別にいいよ、お前意外と律儀なとこあるんだな?」

「意外で悪かったわね」

ムッとして思わず言い返してしまったけど、貴史君は笑ってた。

「素直な方がいいと思うけど?」

「余計なお世話!」

「んじゃ、余計ついでに言うけど…電車ん中でベタベタすんのはどうかと思うぞ?」

ベタベタ…って、もしかしてこの間の航希とのヤツ?!