「史ちゃん…一緒に帰ってあげて」
「あぁ、もう!わかったから…今すぐ離れて」
「史華〜、ありがと」
ギューッとあたしを抱き締めて、やっと航希は離れてくれた。
お礼言うなら、あたしじゃなく穂花に…な気がするけど…
「あ…じゃあ、史ちゃん、また明日ね。コウ君、バイバイ」
ニコニコしながら、手を振って降りてく穂花を引き止めたくなる。
「史華さん…ホント変なことされないように気を付けてよ?
航希も、あんま史華さん怒らせんなよ!」
航希の頭を軽く叩いて、隆平君も降りてく…
「ふ〜みか!ほら、座れよ!」
さっきまでの表情はどこに消えたのか、航希は満面の笑みであたしを引っ張る。
「ホント腹黒いわよね…あんた」
「せめてズル賢いとかにしろよ」
ズル賢いも褒め言葉ではないと思うけど…
「ホノちゃんいてよかった〜」
「穂花利用すんのやめてくれる?」
「んじゃ、史華が素直に俺の言うこと聞いてくれる?」
穂花がいないと態度違いすぎ!
「あ〜、疲れた」
「何がよ…可愛い中学生のフリするのに?」
「そんなんじゃねぇよ!…まぁ、それも疲れるけど…時間ヤバくて、駅までダッシュしたんだよ、体育の後に」
乗り遅れればよかったのに…残念…
「あ、乗り遅れればよかったとか思っただろ?!」
「そうなってれば、あたしは平和に帰れたはずよね〜」
「ムカつく!」
それはこっちのセリフ!
