「からかってないってわかっただろ?」
「でも、なんで?あたし、全然可愛くないし…いいトコなんてないよ?
なんであたしなんか…貴史君も航希も変だよ」
気配りができるわけでもないし、何か特別なことしたこともない。
自分が男の子だったとしても、きっとあたしみたいな女の子を好きになったりしないのに…
「チョコ食ってる史華の顔見たからだよ…」
「何それ…やっぱからかってるんじゃないの?」
「からかってねぇよ…史華の笑顔見て可愛いって思ったけど、お前チョコ食ってる時しかそういう顔しないから…なんかもったいないなって思ったんだよ」
もったいないって…なんかよく理解できないかも。
「なんか不器用でほっとけねぇし、俺にもあんな顔して笑ってほしいって思った…それでいいだろ?もう二度とこんなこと言わねぇからな?クソ恥ずかしいこと言わせんな!」
怒鳴ってそっぽ向いた貴史君は真っ赤になってて…
胸がきゅうっと締め付けられた気がした。
可愛い…なんて、今言ったら怒られるだろうなって、なんとか口にしそうになるのをガマンする。
