鈍恋diary


「お前な…ホント、その無自覚どうにかしろ」

あたしのおデコをツンと突いて、貴史君はベンチから立ち上がった。

ボーリングしてた時も思ったけど、貴史君ってすごく姿勢が綺麗…

ピンと背筋が伸びてるのに、意識してそうしてる感じはなく自然で…

あたし、意識してもこんなふうにはできない。

「何…なんか言いたいなら言えば?」

「え?」

「すっげぇ視線感じるから」

こっち見てないのに、見てるのバレたのもビックリだけど…

なんで見てなくてもわかっちゃうんだろ?

「あ…貴史君って、なんでそんなに姿勢綺麗なの?」

「知るかよ…ガキの頃から空手してるからじゃねぇの。

つか、そんなんじゃなく他にあんだろ?」

なんなんだろ…ホントにこの人は、どこまで見透してるんだろ??

「あたしが無自覚ってなんのこと?」

「…お前顔に出やすいんだよ。意図的にしてるんじゃないから、仕方ないのはわかるけど…困ってる時に、上目遣いで見て来るのとか煽られてんのかと思う」

「あお…って、全然そんなつもりじゃないから!煽ってないない!」

全然無意識だよ、貴史君のこと見てたのも自覚ない。

だから、無自覚なのはわかるけど…それをどうしろっての?!