「史華…嫌なら嫌って言えばいいから…」
「…えっと、何?」
「いや…なんか今、すっげぇ史華のこと抱き締めたいって思ったから」
そんなこと聞かれても、どう答えていいかわかんないよ。
勝手に手繋いだりするのに、なんで今は聞いてくるんだろ?
別に嫌とは思わないけど…
いいよ…とも言えない。
どうしていいかわからなくて、貴史君と顔合わせられない。
「…ごめん」
俯いてたら、突然謝られて…
何を謝ってるのか聞こうとしたら、貴史君の腕の中にいた。
「嫌なら突き飛ばしていいし、蹴り飛ばしてもいい。でも…許してくれるなら少しだけこのままでいさせろ」
「別に…好きにすれば」
いさせろとか言うから、ついまた嫌な言い方になってた。
「バカ…そういうこと言うなって」
「だって、あんたはいつも強引じゃない」
「悪い…そうでもしなきゃ、お前逃げそうだから」
どう接していいかは悩むけど、別に逃げたりしないけど…
関わりたくないってずっと思ってたから、そういうのも顔に出てたのかな?
それでも、あたしのこと心配したりしてくれて…
なんか胸がズキンってした。
