貴史君は、あたしの手首を掴んでズンズン歩いてく。
引っ張られるがままに着いて行くあたしは、一歩歩く度に鼓動が速くなっていく気がした。
連れて来られたのは、公園だった。
駐車場があって、入り口の側にすべり台やブランコが並んでて、何組かの家族連れが楽しそうに笑ってる。
その奥は広い芝生のグラウンドで、小学生がサッカーしてて…
貴史君はその脇をドンドン奥へ進んで、木蔭のベンチに腰掛けた。
あたしも隣りに座って、呼吸を整える。
「からかってるとかじゃないからな?」
「う、うん」
言い方間違ったとかじゃないんだ。
今日はもう一人になるなって意味かと思ってた…
「あの…なんであたしなの?貴史君って女の子あんま好きじゃないんでしょ?やっぱりあたしが男の子っぽいから?」
「妙な言い方すんな!煩いヤツとか、見た目でイメージ作るヤツが多いから嫌なだけだよ」
あぁ…そういう意味だったんだ。
見た目で騒がれてそうだし、見た目と印象と中身違いすぎるもんね…
「あと、別に男っぽいとか思ってない。
気は強いし、たまに口悪いし、スカートで回し蹴りかますけど…表情コロコロ変わるのに不器用で、周り気にしすぎてて、なんかほっとけない」
なんか褒められてる気は全くしないけど…
