鈍恋diary

「そいつ離してもらえません?」

「貴史君…」

「何、変なのに捕まってんだよ、お前は!ホント無自覚も大概にしろっつーの!」

「…ごめん」

無自覚って言うか、コレはどうしようもないんだけど…

やっぱりめちゃ怒ってる。

「そいつ離せって言ったの聞こえなかった?」

「なんだよ…お前友達だろ?彼氏面してんなよ」

「友達助けて悪ぃのかよ?そいつ連れてって何しようとしてるかなんて、その面見たらわかりきってんじゃん」

言ってることは間違ってないけど、挑発してどうすんの?!

貴史君って冷静な対応しそうだと思ってたけど、案外ケンカっ早い!

「女の前でカッコつけるとか、頭悪いガキだな」

「余計なお世話だよ。別にカッコつけてるつもりもねぇし…実力行使で来られてもあんたらに負けるとは思わないし」

「ちょっと、煽ってどうすんのよ!何考えてんの?!」

「何…もしかして史華こいつらに回し蹴りかまして怒らせたとか?」

それちょっと考えたけど、してないし!

「なわけないから…」

「じゃ、悪いのそいつらだからいいじゃん。

史華に股間キックされても文句言えねぇし、俺がうっかり骨折っても正当防衛だろ?」

「あんたが言うと冗談に聞こえない…

この人、兄弟ケンカでお兄さん骨折させるくらいだからホントに危ないですよ?」

なんかこの人たちが気の毒に思えてくる。