『…なんか用あんのかと思って』
「あ…ホントは用事とかないんだけど、この間みたいなの苦手だから断っちゃった」
貴史君と顔合わせ辛いってのもあったんだけど…
さすがに本人にそれ言えないし。
『ああいうのダメそうだもんな、史華。
予定ないなら、明日ちょっと付き合えよ』
「え?…なんでそうなるの?!」
『詫び…なんか奢るから、1時くらいに谷川駅来い。じゃあな』
「ちょっと待ってよ…って、切れてるし」
言いたいこと言って切るとかやめてよ。
予定ないって言ったけど…なんで貴史君と出掛けなきゃいけないわけ?
一方的すぎるよ…
お詫びとかしてもらわなくていいし…
こんなお誘いされる方が迷惑だっての!
「ホントなんなの、アイツ…」
1時って…時間中途半端な電車しかないし…
断るにしてもまた電話しなきゃいけないと思うと、溜め息も出ない。
「なんであたしが振り回されなきゃいけないのよ…」
航希のことだけでも、どうしていいかわからないままなのに…
