「アイツの行動なんかわかんないよ…」
穂花や夏帆なら気遣いだとわかる。
航希なら何度も掛けてるはず…
でも、貴史君のことなんてそれ程理解してないからわからない。
「…って、なんであたしが悩まなきゃいけないのよ」
どうせ文句言われるだけだろうし、スルーでいい気がするけど、今度会った時にゴチャゴチャ言われるのも面倒だと思ってしまう。
嫌なことは先に済ませたい方だし、気になるなら行動…
グダグダ考えるのはあたしらしくない!
そう思ったら、携帯との睨めっこを止めて、貴史君に掛け直してた。
呼び出し音が鳴ると、なんて言えばいいのかとか考えて、やっぱり掛けなきゃよかったと後悔する。
2回…3回…呼び出し音が繰り返される度に、このまま切っても用があるならまた向こうが掛け直すだけだろうって気になる。
4回…5回…もし貴史君じゃない人だったらどうしようって、このまま切ってしまいたい思いが強くなる。
6回…7回…あたしルールじゃ、あと3コール…10回鳴らして出なきゃ切ると、なんとか思い止まる。
