「ちょっと…!! 何なんですか!!」 腕を振り払ってみると 目の前にはこの国の王子、 シオン様がいた。 「…え?」 周りの視線が痛い。 知らない人ももちろん、 知っている人までもわたしを厳しい目で見る。 そりゃそうだ。 王子様に連れられて来たのだから。 ただの使用人であるわたしが。 ざわざわと騒がしくなってきた。 それを裂くように、 透き通った王子の声が会場に響き渡る。