王子様と堕姫様



「マリア様のご到着です!!」


私を含めた使用人達は一気に頭を下げる。



「ようこそ、マリア姫」


マリア様の顔が明るくなる。


「久しぶりね、シオン。
いいかげん姫を付けるのはやめてくださる?」


私が見ても分かる、
この二人はとってもお似合いだ。
思わず見とれてしまう。



二人はそのまま中に入っていった。


この光景を見て、
さっきの話が本当に冗談であって、
本当に馬鹿にされたんだ、
ということをしみじみと実感した。


「今日、この二人の婚約お披露目があるって噂よ?」


「やっぱり!!」


私たち使用人の中でも、
二人の事が話題の中心であった。


私はそんな話には一切耳を傾けず、
あまり人のいないところに移動した。