「・・・あづい」

じりじり照りつける太陽。
太陽なんて嫌いだ。紫外線も嫌い。
あの、ひやっとしたお月様のほうがずっと好き。

からん。と冷ややかな音。

『あっちいなー』

「夕方になったら買い物行こ。昼からとか干からびる」

この日射しのなかに飛び出すとか、自殺行為に等しい。
しかも最悪なタイミングで日焼け止めもあと少し。

『日焼け止めねー。女子は大変大変』

「君さ。なんでそんな肌が白いわけ?」

梔 ダンテの腕をとってしばしば眺める。
白くて綺麗な肌。・・・羨ましい。

「日焼け止め、塗ってる?」

『まさか。塗ってない』

「なのにこんなにも白いとか、」

やっぱり化け物だ。こやつ、人間じゃないな。

『いや、人間だから』

かしゃん。

ガラス瓶の割れる音。

『お前、ポイ捨てやめろよな』

「自分の家の庭だからいーの」

『外でも捨ててただろうが』

「細かい男は嫌いだ」

『うっせ。どうすんの?このガラスとビー玉の海』

「観賞用。いーでしょ?花と違って枯れないの」

『まぁ、どーでもいいけど』

「だったらいうでない」

もうそろそろ夕方になる。黄昏時になったら行こう。
あの時間帯が一番過ごしやすいから。

どこかでウミネコが哭いてる。魚をねだっているのかな。
漁師さんは大変だ。

『腹減ったー』

「今、私がご飯を食べれないのは君のせいだから」

『お前が絶食とか意味のわかんないことしてるからだろ?』

「うわー、自分の過失は棚の上かよ。これだから大人は・・・」

『まだ大人じゃないしー。まだ19だしー。
・・・素直になんで絶食とかしてんだよ』

「いつまで炭酸水で過ごせるか試してみたかっただけだよ?」

『つまんない理由だな、おい。ダイエットかと思った』

「そんな過激なダイエットしないよ。それに私、太ってないし」