「あれ?早かったね。カラスの行水じゃあるまいしゆっくりでもよかったのに。まぁいーや。ちょっと待ってて」
まだ半分ほど残っていたビー玉とソーダーの入ったガラス瓶を庭に投げ捨ててからドライヤーと櫛をとりに洗面台に向かった。
そして、縁側に戻って、手にしていたドライヤーと櫛をおっことした。
だって、あまりに綺麗だったから。
キラキラひかるガラスたちとビー玉たち。
でもそれに負けないくらいキラキラひかる銀色の髪。
『なにやってんの?』
「え?あー、ごめん」
落ちたそれらは拾わずに電気コードを引っ張る。
ギリギリ届くくらいの電気コードにドライヤーのコンセントをつける。
『なんだ、髪を乾かしたかっただけ?』
「あたり。さすが妖怪さとりだね」
『俺は人間です』
ドライヤーのスイッチを入れる。
ぶぉーーー。
キラキラの洗い立ての髪はさっきよりさらさらふわふわでどこか甘い匂いがする。
シャンプー、一緒だから私も同じ匂いかな?
乾き終えた髪を丁寧に櫛でとかす。
「さらさらだねー、ふわふわだねー」
『こんなことのために俺はベタベタするあの炭酸水をぶっかけられたのか』
「・・・さっきね、このキラキラひかるガラスたちとビー玉たちに負けないくらいキラキラひかるこの髪に見とれちゃったんだ」
『・・・・・』
「あれー?耳が赤いよー」
ほんのり赤みがさした耳を指で弄ぶ。
ふにふにしてる。赤ちゃんみたい。