TRIGGER！２

「お前こそ何しに来たんだよ？」


　彩香と同じようにビールをラッパ飲みしながら、ジョージは聞いた。


「お前の親父に言われて、ここの内部事情探りに来たんだよ。どっかのバカが２人とも音信不通になってるからな」


　イヤミたっぷり織り交ぜて、彩香は答えた。
　ふうん、とジョージは相づちを打って。


「ミスキャストだな。彩香にそんな繊細な役が務まるワケねぇのにな」


　もう一回どついてやろうか、と彩香はジョージを睨み付ける。


「で、どうだった？」
「あのジジイが誰だか知ってるか、ジョージ」
「もちろん」


　当然のように、ジョージは頷く。
　彩香は少し険しい顔を向けた。


「お前から話せよ。あたしの話はそれからだ」


　佐久間の事を知っているという事は、ジョージはこの件に関して何かの情報を知っているという事だ。
　そうだなぁ、と、ジョージはタバコに火をつけて。


「何から聞きたい？」
「美和の事」


　彩香は即答した。
　この一連の事件で先ずコイツの正体を知らない事には始まらない。


「知ってるんだろ？」


　念を押すように、彩香は聞いた。


「あぁ、知ってるぜ。ぶっちゃけて言うと、隼人の知ってる美和っつうのは、俺の従姉妹だ」
「・・・・・」


　ジョージが美和の事を知っているのは分かっていたが、まさかそんなに近しい親戚だとは、思いも寄らなかった。
　だがそんな彩香にとってもっと驚く事実を、ジョージはさらりと言ってのける。


「でな。美和は雛ちゃんの娘だよ」
「誰だそれ？」
「安曇雛子。お前もよく知ってる占い師」
「ちょ・・・ちょっと待てェ!!」


　思わず立ち上がり、彩香は叫ぶ。
　こんなにちょこっとジョージの話を聞いただけで、既に頭が混乱している。
　美和がジョージの従姉妹で、あのぼったくり占い師、安曇雛子の娘。
　という事は。