TRIGGER！２

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　少しだけ仮眠を貪るつもりが、ガッツリ眠ってしまったらしい。
　目が覚めて枕元の携帯を見ると、もう夕方だった。
　それに、画面には着信を知らせる表示がある。
　髪の毛をかきあげながら起き上がり着信の画面を開くと、昼過ぎから一時間おきに三件、峯口から電話が入っていた。
　そして。


「あんの、バカ」


　携帯の画面を見つめたまま、彩香は呟いた。
　つい20分前に、ジョージから電話があったらしい。
　彩香は迷わずジョージに電話をかける。
　呼び出し音が鳴っている間、彩香はふと思う。
　峯口の話では、ジョージはここで彩香のビールを飲んだ後、あっちの世界に行ったという事だった。
　あっちでは連絡手段がないのだから、電話を掛けてきたという事は・・・ジョージは20分前、こっちに戻って来ているという事になる。
　だが、何回コールしてもジョージは電話に出なかった。


「このクソ忙しいのに、何やってんだあいつ！」


　彩香は携帯を睨み付け、電話を切ると峯口にかけ直した。
　こっちはコール三回で繋がる。


『オハヨー彩香！』


　親子なのにこの差は何なんだ、と彩香は呆れたが。


「寝てたんだよ」
『だろうと思ったよ。ぜんっぜん気にしてないからな！』


　何故か嫌味に聞こえるのは、気のせいだろうか。


『いや俺も何かと忙しすぎてな、動くに動けないんだよなぁ。おかげでまだイチゴのお見舞いにも行けない』


　という事は、峯口は昨日このマンションで何が起きたのか、ちゃんと把握していると言う事だ。


「無事なのか？」
『あぁ、結構な手術だったらしいがな。何とか無事らしい。あ、２・３日は“ＡＧＯＲＡ”休みだってよ。桜子がそう言ってたぞ』
「飲みになんて行かねぇよ。そんな気分じゃねぇ」
『ちゃんと仕事をこなしてくれたんだな。案外真面目なんだよなぁ、彩香は。感心感心』


　からかうんじゃねぇよ、と、彩香は昨日の事を簡単に報告した。
　ついでに、友香の事も文句を含めて言っておく。


『あー、やっぱ友ちゃん、バラしちゃったんだなぁ』
「笑うとこじゃねえよ。まるであたしがド素人みたいに言いやがって」
『勘違いするなよ、彩香。俺はお前がド素人だなんて言ってねぇ、初心者だって言ったんだ』
「同じ事だろうが」
『まぁ怒るなって。みんなそれぞれ思いっつうのがあるんだよ』
「知るか」


　タバコをくわえて、彩香は吐き捨てるように言った。


「そう言や、さっきジョージから電話があったんだよ。かけ直したんだけど出なかった」


　そうか、とだけ、峯口は言う。