TRIGGER!2

 左手の1人に、こっちから仕掛ける。
 だが当然、もう1人が銃でジョージの頭に狙いを付けている。
 パン! と弾けるような銃声が響き。
 続けざまに、人影がジョージの背後に飛び出した。
 腕を押さえる黒ずくめの懐に一気に潜り込み、その勢いに任せて押し倒す。
 喉元に一発お見舞いして立ち上がる時には、ジョージの方も片付いたようだ。


「遅かったな、カタブツ」
「誰がカタブツだ」


 短い会話を交わしながらも、風間はスターダストの入り口を背にして、銃を撃つ。
 ここは繁華街の中でもメイン通りだ。
 ヴィジョンはいつもと変わらなく、人々が行き交っている。
 真昼のようなネオンの中、視界の隅の僅かな暗やみを見つけては、銃を撃つ。
 当然、一般人に弾丸が当たったように見えるのだが、それはまやかしだ。
 毎度の事ながら、気分のいいものではないな、と風間は思った。


「急ぐぞ」


 ジョージも銃で応戦しながら、風間に言った。


「待て。奴らがマンションに向かったら・・・」


 いくら頭数が揃っているとは言え、今、マンションに残っている人間だけでは、この黒ずくめを相手に対等に戦えるか分からない。
 だから正直なところ、風間はここで奴らを一掃してしまいたかった。
 だがジョージはそれにな賛成していないらしい。


「さっさと親玉仕留めれば済む話だろうが」
「田崎がこの店の中にいる保証はない。真夜中までまだ時間があるんだ、そんなに焦ってどうする?」


 ジョージがさっき敵2人を相手にしていた時も、本来はまず最初の攻撃を避け、そこから反撃のチャンスを伺うべきだろう。
 そんな戦法くらいジョージも十分心得ているだろうに、即座に1人だけにこちらから攻撃を仕掛けるなど、らしくないミスだ。


「時間がねぇんだとよ」
「時間?」
「あぁ、彩香は消えるつもりだ」


 身を隠す柱に敵の銃弾があたり、破片が頭に降ってくる。
 風間は銃を引くと、ジョージを見つめた。


「何があったんだ?」
「説明は出来ねぇ。だが、彩香は彩香じゃなくなる。そんでなぁ、俺達の前から消えるつもりなんだとよ!」


 メイン通り向かい側、そこにある小さなキャバクラ。
 店の前で大声で宣伝をしている若い兄ちゃんの真横にある電飾看板の後ろに1人。
 ジョージはそこを目掛けて突っ込んで行く。
 雑踏に惑わされないようにその姿を目で追いながらも、風間は周囲の気配を探る。