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「四人目、だな」


 足元に倒れて動かなくなった黒ずくめを見下ろして、ジョージは口元を手の甲で拭った。
 “スターダスト”の店の前。
 こいつら、銃の扱いだけではなく接近戦まで慣れている。
 その身体のどこかしらに武器を仕込んでいて、ナイフひとつ叩き落としたくらいでは足りない。
 そんな不意打ちを何度かくらい、ジョージの身体には何カ所もの深い切り傷が刻まれていた。
 しかも。


「ーー!!」


 ジョージはその場を飛び退いて、それと同時に銃を撃つ。
 暗闇に紛れながらも、さらに死角から狙われては、こっちもたまったものではない。
 ーーだが。


「こっちもなぁ、引けねぇんだよ!!」


 一発、弾丸を撃ち込まれるごとに、ジョージはしっかりと相手の位置を把握することが出来る。
 仲間が3人もやられ、相手にもそれが分かってきたのか、さっきよりも発砲の数は減ってきた。
 その代わり、不意打ちという手法に切り替えて、直接こっちを狙ってくる。
 彩香を信じるならば、黒ずくめ30人のうち半分はここに残っている計算になるのだが。


「どうだかな・・・!」


 気配を殺して襲いかかる敵のナイフに気付いた時には遅かった。
 背中に鋭い痛みが走る。
 だが身をよじって、ジョージは振り向きざまに相手の首根っこを掴み、そのまま膝蹴りを打ち込む。
 激痛に耐えながら、ジョージは息を整える。


「五人目・・・!」


 相手の攻撃を凌いだ一瞬の隙が反撃の最大のチャンスとは言うが、これでは自分の身が持たない。
 さっさと面倒な事極まりないこの連中を片付けて、あの飛んで行きそうな風船みたいな彩香をしっかりと掴んでおきたい。
 だから、焦っていたのかも知れない。
 闇雲に、スターダストの入り口の前に突っ込んで行くジョージ。
 両脇から2人、こっちに飛びかかってきた。