☆  ☆  ☆



 致命傷を与えられないように、出来る限り自分の身を守ってはいるのだが。
 それでも、ダメージはだんだんと身体に貯まっていく。


「ったく、面倒くせぇ連中だな」


 空になった弾倉を捨て新品をセットしながら、彩香は呟いた。
 正直、ここまでしぶといとは思わなかった。
 ビルとビルの間の狭い空間に身を隠し、上がった息を整える。
 だがそんな間もなく、背後からの気配に身をよじり、相手の攻撃をかわすとそのまま身体を反転させて、回し蹴りを繰り出す。
 ドサリ、と音がして、彩香の背後から狙っていた黒ずくめの男が1人、地面に倒れた。
 敵は何とか彩香の至近距離に近付こうとしている。
 もしかしたら、手っ取り早く彩香の身柄を確保しようとしているのかも知れない。


「その手にゃ乗らねぇよ」


 彩香は暗がりを抜けて走り出す。
 途端に浴びる集中攻撃。
 相手は、足を狙っている。
 “スターダスト”まで、あと少しーー!


「・・・っ!!」


 やっと建物が見えてきた所で、銃弾が彩香の太ももを撃ち抜いた。
 走っている勢いのまま、彩香は道路に転がった。
 回転する視界の片隅に、黒ずくめが何人かこっちに向かって走ってくるのが見えた。
 片手をついてすぐさま体勢を立て直し、彩香は掴みかかって来る男の1人の鳩尾に、思い切り肘打ちを喰らわす。
 それでも全く動じない男。
 彩香は舌打ちをして、後頭部目掛けて回し蹴りを繰り出して。
 全体重がかかる左足の激痛に顔を歪める。
 だが同時に背後から気配を感じ、彩香はその場を飛び退いて迫る男の手から逃れる。
 それでも、また違う男に右腕を掴まれた。
 その拍子に、持っていた銃を落としてしまう。


「誰に向かって手ェ出してんのか分かってんのか、テメェら!!」


 暴れながらも、彩香は道路に引き倒され、複数の男によって頭を抑え込まれてしまう。
 後ろ手に両手を拘束しようとする連中に、必死で抵抗する彩香。
 だが、その時。