珈琲を入れて、テーブルに置いた。
私にも、川本さんが質問してくる。

今は、仕事。そう言い聞かせて
にこやかに説明して、
「今度は、完成させたものをぜひ、
お願いしますね。」

私は、
お辞儀して見送った。

直人と高井さんは
下までお見送り。
空いたカップを集め、給湯室へ、

「はぁー‥。」あの空間から抜け出せて
ホッとしていた。

トントン、「えっ?」
振り返った。
洋輔‥‥。

「葵。何度も連絡したのに、繋がらないし、無視すんなよ!あおい‼︎」

「洋輔!結婚おめでとうございます。」
「はぁ?誰が?結婚?何言ってんの?」

「結婚するんでしょ?」「あ〜。あれ
俺じゃない。金子!だよ。だからか?」
ぐっと腕を引かれ胸の中へ。
「離して‼︎ 」「嫌だ!離さない!」
「本当に、やめてよー!」
ふんわりと香るホワイトムスクの香り

気がついたら直人の胸の中。
「俺の女に触るな‼︎」
「直人‥。」

「葵は、俺と付き合って‥。」
「好きな女を傷つけた奴に彼女だなんて
言わせねぇ!」
冷酷な表情。冷たい視線。


「大丈夫か?」
かすれる声。「帰りたい‥。」
「そうだな。帰ろう。」
抱き上げられた私は、直人の首に手をまわした。

「俺は、別れたつもりない‼︎」

そんなの声聞きたくない。