私はこう思うんだよ。
 
  私が見ている君と皆が見ている君は違うんだ、ってね。
  
  だからさ私だけは信じてほしかったな。
  私は君の事を忘れはしないよ。


 
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 ある朝、それは何も昨日と変わらない真夏日。
蝉が鳴いていて、太陽がでていて、全く変わらない。
ただ私には昨日とは全然変わった今日がやってきた。

 朝のホームルームで先生の口から聞いた言葉に私は息をのんだ。

「昨夜から相墨壱成が家に帰ってないそうだ
 何か知ってることがあるなら先生に教えてくれ」

 クラスがどよめいた、一瞬のうちに。私はどよめきもせず騒ぎもせず
ただ、静かに席に座っていた。

 
 相墨壱成(あいずみ いっせい)笹舘高校1年生 1-4組。
好きなもの:ネット・かわいいもの
嫌いなもの:ピーマン

 どうして私がここまで知ってるかって?
壱成は私、赤澤利里(あかざわ りり)の恋人だ。
どうして私が恋人が行方不明なのに焦ってないかって思う人もいるだろ。

 私はただ単に気持ちを表に出しにくい。いや出さない。
だからいつも勘違いをされてしまう。皆怖がって話しかけてこないようになってしまった。
そんな私に初めて声をかけてくれたのが壱成だった。
壱成とは席が近くていつも一緒に居た。いつも一緒に帰った。いつも一緒に登校した。
それが昨日だけは違かった。