女たらしの彼と初恋の私




「美沙ぁ~!遅いよぉ!来ないかとおもった!」

教室に入るなり抱きついてくる、友達の香奈。

「ごめんごめん!寝坊しちゃって…」

「えー?美沙が寝坊?めずらし~」

ん~、まあ確かに、めずらしいかな。

「あ、そうそう!聞いてよ!朝ね、すんごいイケメンの人に会ったの!」

朝のこと、話してみるか。

「え!だれだれ?!この学校の人?」

「うん!名前は…神谷君だっけな?」

香奈はその名前を聞いた瞬間。

「神谷…紫音…?」

怪訝な顔をして、その名前を口にする。

「へぇー。下の名前、紫音って言うんだ~」

そう言ったとき、香奈は真剣な顔で

「美沙!神谷君はダメだよ!」

と。
え?何でダメなの?あんなに優しそうなのに。

「え、なんで?優しかったよ?」

「神谷君は…」

キーンコーンカーンコーン