「夏樹、苦しい…。」

「あ、ごめん…。」

パッと力を緩め、私の両肩を掴んで引き離す。

俯いたまま何も喋らない私に、夏樹は困ったように言った。

「線香花火、しよっか?」

…そう、私が線香花火を取りに向かった背後で、夏樹が不気味な笑みを浮かべているだなんて気付かなかったのだ。

これが、最期になるなんて。