「なーつき。」

「…!?」

夏樹はバッと振り向いた。

そりゃそうだ。

たった今、自分が殺した筈の女の声が、後ろから聞こえたのだから。

私と、夏樹の目の前でぐったりと横たわる“千香”とを交互に見つめる。

「残念だね、夏樹。
本物はぁ、あ、た、し。」

「本物…?」

「あんたが殺したのは、あたしの双子の妹。」

目を見開きながら、夏樹は足元に転がる妹の千夏を見た。

「あんたが殺したかった千香はあたし。…気付かなかった?ときどき入れ替わってたの。」

「入れ替わって…?」

「千夏、あんたのこと好きになっちゃったんだって〜。
だから貸してあげてたの。」

ふるふるふる、夏樹の拳が奮える。

こめかみがピクピクと痙攣している。

あ〜ぁ、た〜のし♪