「ただいま…。」

「響ちゃん。ちょっと話があるの。…彼方も。」


響は首を傾げて、母さんの後についていった。

俺は荷物を置くのも、コートを脱ぐのも忘れて

響の後を追いかけた。


「…あのね、響ちゃん。」

「…うん…?」

「私達ね、引越ししようと思うの。」


一瞬。

響の瞳が揺れた。